日々是傾き

歌舞伎、着物、その他いろいろ。傾いたり傾かなかったりな出来事あれこれ。

ウイスキーテイスティング講座「熟成樽の個性・相違点を理解する」

ウイスキーテイスティング講座。2回目の今日は、樽の違いを味わった。ざっとまとめると、こんな感じらしい。

・オーク樽は、淡い黄金色とバニラやナッツのような香りが特長。
・バーボン樽は、ウィスキーを熟成される樽としては一番メジャー。
・シェリー樽は、ウィスキーは、ルビーのような深い紅色と甘美な味わいが特長。
ボルドーワイン樽は、発酵した葡萄の風味がもわんっと香るのが特長。

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で、今日のウイスキーは・・・

グレンモーレンジィ オリジナル 10年  

40度(モルト ハイランド)バーボン樽

②アラン アマローネ・カスク・フィニッシュ 

50度(モルト アイラ)ワイン樽

 

③ベンロマック オリジンズ・シリーズ”(オプティック種)

50度  (モルト スペイサイド)シェリー樽 アメリカンホワイトオーク

④グレンドロナック 18年  

46度(モルト ハイランド)シェリー樽 スパニッシュオーク

 

エヴァンウィリアムス 12年
50.5度(バーボン)新樽

 

なるほど。比べてみると違いが分かる。①のバーボン樽のウイスキーはイエロー~ゴールドだけど、②のワイン樽だとオレンジがかった赤みの強い色。③のシェリー樽は甘い香りが広がった。④のスパニッシュオークのシェリー樽だと甘さの中にも樽の渋みをより強く感じた。⑤の新樽だと、いかにも樽の味、干しブドウやバニラの香りがしっかり感じられた。

軽く飲みやすかったのは①と③。前回の講座では5杯全部飲み干して少々酔っ払ってしまったので、今日は③だけ飲み干して、残りは舐める程度に。しかし、旨いウイスキーってのは50度でも味わい深く、美味しく飲めるものなんだなあ。

小野リサ スペシャルライブ@サッシペレレ

四ッ谷のサッシペレレで一夜限りの小野リサが見られるとあって、即予約。月曜なのに60名満席。19時のライブまで、まずは生ビールで喉を潤す。

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ライブは19時~と20時半~。ミュージックチャージは7000円。ドリンク&フードメニューも特別料金。

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1曲目は「イパネマの娘

ライブはやっぱり、いい。定番曲で安心して聴ける。思わず一緒に口ずさむ。外は雨がパラついて肌寒い夜だったけど、ここサッシペレレにイパネマ海岸が広がった。
「Triste(悲しみ)」これもアントニオ・カルロス・ジョビン

「おいしい水」個人的に聴けて嬉しかった曲。アグヮジベベ~♪と口ずさむ。

「Dindi(ジンジ)」しっとり歌い上げる曲が耳に心地良く、これぞライブの醍醐味。

「三月の雨」ブラジルでは夏の終わり=3月の雨の情景を歌った歌。言葉が面白い。

「サマーサンバ」夏の定番曲。地下のライブハウスなのに夏の太陽を浴びた気がした。

定番曲は思い出すものの、他は・・何だったっけ。たくさん歌ってくれた。

夏を先取りしたような、賑やかで楽しい夜でした。

 

 

 

 

 

【講演会】芸術の秋に歌舞伎を楽しもう!~江戸時代の芸能と社会

歌舞伎研究の第一人者でいらっしゃる高校の先輩の講演会に参加。大変興味深いお話を拝聴した。

仮名手本忠臣蔵」を題材に、ということだったので、見どころ解説的な、イヤホンガイド的な話中心かな、と想像してたのだけど、いやいや、とてもアカデミックな、「ほう、ほう」と身を乗り出してしまうほど興味深い、ディープな話。江戸の庶民たちのマインドが解り、知らぬ間にタイムトリップして、講演が終わる頃には自分が江戸庶民になっていた感。

江戸時代、歌舞伎が人気を博していたころ、全国的に歌舞伎興行が盛んに行われていた、とのこと。有名な役者だけではなく、家族・個人単位の芸能者たちが、プロもアマも新作歌舞伎を演じていた、とは。しかも、それが記録として残っている。
福岡は糸島半島の泊という役者村に残る「泊役者の演目一覧」。もちろん「仮名手本忠臣蔵」も載っているし、九月歌舞伎座の演目「双蝶々曲輪日記」「伽羅先代萩」十二月歌舞伎「本朝廿四孝」「妹背山婦女庭訓」といった、平成の今も度々かかる演目がズラリ。
その多くは人形浄瑠璃から歌舞伎に輸入された「丸本歌舞伎」と呼ばれる演目である。

人形浄瑠璃で人気があったから、歌舞伎で演じる。というのは、今でいう漫画が原作の映画とか、それこそ今まさに上演中の、スーパー歌舞伎セカンド「ワンピース」と同じ手法か。「ワンピース」は新歌舞伎の中でも特に「傾いた」ものだと思うけど、人形浄瑠璃が歌舞伎に、というのは歌舞伎の王道だったのだろう。

人形の名残が残った演目として思い浮かぶのは「俊寛」(平家女護島)。鬼界ヶ島の海女・千鳥が人形の動きをするのが見どころでもある。そういえば、「俊寛」しばらくかかってないような。何年前だったか、勘三郎存命のころ、鹿児島は硫黄島で「俊寛」を演ったなあ。野外歌舞伎。

江戸の庶民は、そこいらで、ちょいと歌舞伎を演じていたり、千両役者も乞食の親子も、同じ「忠臣蔵」を演じていたり。そういう記録を解りやすく説明していただき、歌舞伎目線で江戸にタイムトリップできた、とても面白い講演でした。


■参考文献を図書館で借りた
「シリーズ身分的周縁と近世社会4 都市の周縁に生きる」(吉川弘文館
「役者村」の章

シネマ歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」


映画『シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど』予告編 - YouTube

勘三郎三津五郎染五郎勘九郎七之助ほか豪華メンバーが繰り広げるクドカンワールド。これは見ておかねば。ということで、東劇で観てきました。小雨降る土曜の11時というのに、大盛況。満席?

「暫」「らくだ」といった歌舞伎の演目がパロディになっていて、それでなくても面白いのに、ゲラゲラ笑ったり、くすくす笑ったり、オトナな描写や痛烈な皮肉に苦笑いしたり。これぞ歌舞伎=傾きではないか!

前半、かなり軽快に大笑いしていたのに、後半だんだん人間の本質に迫ってくると、笑いの中にも、深く考えさせられる場面や、涙が出そうになる一幕も。古典歌舞伎を引っくり返したような愉快で斬新かつ辛辣なクドカンワールドが、徐々に「歌舞伎」になっていく。私が歌舞伎好きなのは、そもそも人間の本質なんて400年やそこらで変わらないと思ってるから、歌舞伎の世界に大いに共感できるからだ。
それにしても、染五郎は上手い。心の奥にある醜い部分や純粋な部分、悩み苦しみながらもズルい部分。生きてる人間を演じること、生ける屍となった、それでも生きる人間を演じること。
七之助のキュートさは言わずもがなだし、勘九郎もいい味出している。
勘三郎三津五郎に会えたのも嬉しい、ドタバタコメディ歌舞伎。

生ける屍のように生きてる人は、死んでいるのか、生きてるのか。死んだ人は、肉体が死んだだけなのか、精神は生きているのか、生きているなら、どこで?何をもって生きているとするのか。「りびんぐでっど」とは死んだのか生きてるのか、りびんぐでっど と生きてる人間の境界線はどこにあるのか。
死んだ人のことを考えても仕方ない。その人は生きてないんだから。本当にそうなのか。
死んだ人から見ると、生きてる人間は意地を張ってるだけなんじゃないか。
色々と考えさせられることのあった、でも楽しい演目でした。

メインストーリーとしては、りびんぐでっど=半人前の人間、人並みに話すこともできないゾンビが派遣(社員)となり、人間の嫌がる仕事を請け負う、という、派遣の話が語られるのだけど、それは置いといて。
しかし、歌舞伎役者さんが、今ふうのセリフ喋ったり、今ふうのダンスを踊るのは、それだけで本当に面白く、歌舞伎初心者でも取っつきやすい、賛否両論あったけど、なかなか良い演目。

上映期間1週間って短いなあ。

 

八月納涼歌舞伎 第三部

笑いの止まらない演目2幕。

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花道がバッチリ見える東席から観劇。
まずは舞踊「芋掘長者」。緑御前の七之助の可愛らしいこと。
舞のできる治六郎を巳之助が演じ「十世坂東三津五郎に捧ぐ」一幕。芋掘藤五郎の下手な踊りを、下手に見えるように上手に踊るのは橋之助。うまく踊れない藤五郎と、黒子となって舞の手ほどきをする治六郎の掛け合いの面白さ。芋掘踊りの面白さ。
最後は全員で芋掘踊りを舞って、お姫様の七之助も客席に向けてお尻フリフリして何とも楽しい。一緒に観劇した同級生いわく「まるでドリフやな」。滑稽で楽しくてドタバタで、舞踊劇なのに全く飽きることなく、笑いも何度も起きて、満足な一幕でした。

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そして「祇園恋づくし」秀逸。後日、幕見でも観てしまったほど。
勘九郎、江戸っ子ぶりが粋だなあ。勘三郎を彷彿とさせる。ちゃきちゃきの江戸っ子セリフは早口で、よくあれだけ喋れるものだ、と感心。「お父さんに似て」心地よい。滞在先の娘おそのが自分に気があると思い込んでの舞い上がりぶり、いい人と思われたい気取りぶり、どんでん返しで気持ち破れたときの正直な落胆ぶり。全てが江戸っ子、気っぷが良い。

対する京男、文吉を演ずる巳之助、ネチネチグダグダなよなよぶりが、あまりに面倒くさくて面白い。
ベテラン勢では、 夫と妻の二役演じた扇雀が面白い。お茶屋話がまた可笑しくて、夫役扇雀が芸子に入れ込む設定で、「いや、芸子じゃなくて舞妓のほうが好みとか?」→お父さんの遺伝子?(扇雀のお父さまは藤十郎=舞妓相手の開チン事件)というような、若い世代にはピンと来ないだろうネタにクスリと笑う。

七之助の美しさにも磨きがかかり、大満足な今日の歌舞伎でした。楽しかった~!
幕見席から見た感じ  ↓

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住吉神社例大祭・佃祭2015

片棒を担ぐ。というより、ぶら下がってきました。
江戸幕府に許可された由緒あるお祭り。3年に1度の例大祭は江戸庶民の憂さ晴らし?平成の今も同じかな。写真は8月1日の町内神輿。

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歌舞伎の夏祭りで思い出すのが「夏祭浪花鑑」。

七段目「長町裏(泥場)」では、凄惨な舅殺しが展開するのだけど、そのバックには祭りのお囃子や人々の喧騒が。だんじりのお囃子が人をトランス状態にするのか、舅の婿いびりが度を超え、婿の精神の限界に達し、狂気の中で舅を殺してしまうのだ。

住吉神社例大祭、クライマックスは今日(8月3日)宮神輿の町内巡幸である。もちろん担がせてもらった。
我さきに神輿を担ごうと群がる人々や、「おりゃ、おりゃ」の掛け声、お囃子の音。神輿は前に進んだと思えば後退し、人々の怒号や手拍子の音、歓声、沿道のあちらこちらから掛けられる水。水しぶき、熱気。担ぎ手は、町内神輿の比ではないほど隙間なく並んで、ずぶ濡れの体が密着している。
お祭りは、見るのも楽しいけど、参加してナンボのものかもしれない。江戸庶民になって、歌舞伎の世界にタイムスリップできたような。3年後、今度は娘も一緒に出たいなあ。

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