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日々是傾き

歌舞伎、着物、その他いろいろ。傾いたり傾かなかったりな出来事あれこれ。

シネマ歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」


映画『シネマ歌舞伎 大江戸りびんぐでっど』予告編 - YouTube

勘三郎三津五郎染五郎勘九郎七之助ほか豪華メンバーが繰り広げるクドカンワールド。これは見ておかねば。ということで、東劇で観てきました。小雨降る土曜の11時というのに、大盛況。満席?

「暫」「らくだ」といった歌舞伎の演目がパロディになっていて、それでなくても面白いのに、ゲラゲラ笑ったり、くすくす笑ったり、オトナな描写や痛烈な皮肉に苦笑いしたり。これぞ歌舞伎=傾きではないか!

前半、かなり軽快に大笑いしていたのに、後半だんだん人間の本質に迫ってくると、笑いの中にも、深く考えさせられる場面や、涙が出そうになる一幕も。古典歌舞伎を引っくり返したような愉快で斬新かつ辛辣なクドカンワールドが、徐々に「歌舞伎」になっていく。私が歌舞伎好きなのは、そもそも人間の本質なんて400年やそこらで変わらないと思ってるから、歌舞伎の世界に大いに共感できるからだ。
それにしても、染五郎は上手い。心の奥にある醜い部分や純粋な部分、悩み苦しみながらもズルい部分。生きてる人間を演じること、生ける屍となった、それでも生きる人間を演じること。
七之助のキュートさは言わずもがなだし、勘九郎もいい味出している。
勘三郎三津五郎に会えたのも嬉しい、ドタバタコメディ歌舞伎。

生ける屍のように生きてる人は、死んでいるのか、生きてるのか。死んだ人は、肉体が死んだだけなのか、精神は生きているのか、生きているなら、どこで?何をもって生きているとするのか。「りびんぐでっど」とは死んだのか生きてるのか、りびんぐでっど と生きてる人間の境界線はどこにあるのか。
死んだ人のことを考えても仕方ない。その人は生きてないんだから。本当にそうなのか。
死んだ人から見ると、生きてる人間は意地を張ってるだけなんじゃないか。
色々と考えさせられることのあった、でも楽しい演目でした。

メインストーリーとしては、りびんぐでっど=半人前の人間、人並みに話すこともできないゾンビが派遣(社員)となり、人間の嫌がる仕事を請け負う、という、派遣の話が語られるのだけど、それは置いといて。
しかし、歌舞伎役者さんが、今ふうのセリフ喋ったり、今ふうのダンスを踊るのは、それだけで本当に面白く、歌舞伎初心者でも取っつきやすい、賛否両論あったけど、なかなか良い演目。

上映期間1週間って短いなあ。