日々是傾き

歌舞伎、着物、その他いろいろ。傾いたり傾かなかったりな出来事あれこれ。

十二月大歌舞伎 第一部『あらしのよるに』

歌舞伎座「十二月大歌舞伎」第一部は『あらしのよるに』。中村獅童。東京初演です。絵本が原作のこの演目、昨年9月に京都南座で新作として上演されたもの。

狼と山羊の物語。動物を演じる歌舞伎。ちょっとメルヘンな感じ?

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歌舞伎座正面玄関前の浮世絵は、こんな感じで描かれています。浮世絵だと歌舞伎らしい。

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【今日の着物】
母から譲り受けた大島(古い裏地を張替えたもの)、辛子色の帯揚げ(銀座いち利さんの企画でいただいたもの。いち利さん、ありがとうございます)、抹茶の帯締め(旧友にもらったもの。Eちゃん、ありがとう)、帯は作り帯です(時短着物の必需品)。
着物の裾回しと帯裏が深めの赤。足袋は歌舞伎柄ワンポイント付きのタビックス。

 

大入りが出てました。幕見席も立ち見が出る賑わい。小さなお子さんも多数。

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この演目、1階席が最強です。私は3階席で観ましたが・・・。のっけから、狼の獅童や山羊の松也が1階席を歩いて回る演出があり、客席は大いに沸きました。3階席には楽しそうな空気が伝わってきて、1階席、楽しそう!

 

動物が演じられる演目は、狐忠信など有名なものもいくつかあり、それぞれに動物の動きが取り入れられていますが、今回の狼と山羊も同様。歩き方や仕草に、随所に見られました。特に、山羊の走り方が可愛らしく、心理描写と相まって?軽やかなステップが見る者を楽しい気持ちにさせてくれました。

獅童の演技の素晴らしさは言うまでもないけれど、それにしても、松也って、こんなに可愛い女形だったかしら。というか、山羊の「めい」って女?雌?なのか?

あくまでも友情物語であって、恋愛ではなさそうなので、性別は関係ないのかな。

 

悪役の中車もまた、大和田常務的な役回りなのかな?と思っていたら、ずっと前から歌舞伎役者だったかと思ってしまうほど、板についた、存在感のある役者さんになってました。悪役が似合うのは変わらないけど。

 

さすが新作歌舞伎、と面白く観劇できたところとして、下座音楽や義太夫とのコラボレーション。義太夫が狼の「がぶ」(獅童)の心理を三味線に合わせて語り、観客はがぶに感情移入していくのだけど、そこで、がぶが義太夫に突っ込み入れたり。下座音楽の楽器が古典的な邦楽の楽器だけでなく、小さいお子さんでも馴染みやすかったり、誰でも知ってる曲が出てきたり。

狼と山羊の乱闘シーンの大立ち回りも迫力あり。もちろん歌舞伎ならではの見得も随所にあり。ストーリーは単純でも、大人でも十分に楽しめる素敵な演目でした。

1階席で見たかったなあ。

 

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