日々是傾き

歌舞伎、着物、その他いろいろ。傾いたり傾かなかったりな出来事あれこれ。

明治座 海老蔵歌舞伎

まさかの、とちり席にて海老蔵歌舞伎鑑賞。舞台が近い。花道が近い。

予約時には、5月の末なら緊急事態宣言は明けてるはず、と思っていたけど、まさかの6月まで延長。万全の感染対策で、大向こうはもちろん、客席での私語も控えてください、と。終演後のお茶すらNGだから、とにかく舞台に全集中!

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実盛物語は定番古典演目。勸玄の見得も決まってました。しかし今日の目玉は「Clubhouse」から誕生した新作歌舞伎舞踊KABUKUでしょう。いや〜、傾(かぶ)いてました👍👍👍 現代の渋谷の街から江戸時代にタイムスリップ。疫病退散の偽物お札でひと儲けを企む輩どもが閻魔大王の前に引っ立てられれば…。しーばーらーくー!ではなくて、ちょっと待て!と登場するは、素顔の海老蔵🦐 (すっぽんから登場したのは、閻魔大王のいる異界に、人間界からやって来た真人間だから??)

荒事らしさ溢れる立回りの様式美と、今風のダンスパフォーマンス。ストーリー展開もテンポ良く、ノリノリで楽しく、要所要所の見得が盛り上がる。至近距離で海老蔵の見得を見れるなんて、この上ない幸せ。ほんとカッコいいんだなー。

そして、勸玄の可愛らしいこと。海老蔵の飛び六方に続き、勸玄の飛び六方が❗️ もう客席じゅうが親戚のおばちゃん目線で拍手喝采、大盛り上がり。

カーテンコールも会場全体が和やかな温かな空気に包まれて、自粛中の沈みがちな気分が晴れたよう。

退場時も人数制限あり、密にならない会場運営。観客や運営スタッフはもちろんですが、黒御簾の唄方さんも黒マスク着用で、こんな大変な状況でも公演を続けてくれることに感謝です🙂

十二月大歌舞伎 第一部『あらしのよるに』

歌舞伎座「十二月大歌舞伎」第一部は『あらしのよるに』。中村獅童。東京初演です。絵本が原作のこの演目、昨年9月に京都南座で新作として上演されたもの。

狼と山羊の物語。動物を演じる歌舞伎。ちょっとメルヘンな感じ?

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歌舞伎座正面玄関前の浮世絵は、こんな感じで描かれています。浮世絵だと歌舞伎らしい。

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【今日の着物】
母から譲り受けた大島(古い裏地を張替えたもの)、辛子色の帯揚げ(銀座いち利さんの企画でいただいたもの。いち利さん、ありがとうございます)、抹茶の帯締め(旧友にもらったもの。Eちゃん、ありがとう)、帯は作り帯です(時短着物の必需品)。
着物の裾回しと帯裏が深めの赤。足袋は歌舞伎柄ワンポイント付きのタビックス。

 

大入りが出てました。幕見席も立ち見が出る賑わい。小さなお子さんも多数。

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この演目、1階席が最強です。私は3階席で観ましたが・・・。のっけから、狼の獅童や山羊の松也が1階席を歩いて回る演出があり、客席は大いに沸きました。3階席には楽しそうな空気が伝わってきて、1階席、楽しそう!

 

動物が演じられる演目は、狐忠信など有名なものもいくつかあり、それぞれに動物の動きが取り入れられていますが、今回の狼と山羊も同様。歩き方や仕草に、随所に見られました。特に、山羊の走り方が可愛らしく、心理描写と相まって?軽やかなステップが見る者を楽しい気持ちにさせてくれました。

獅童の演技の素晴らしさは言うまでもないけれど、それにしても、松也って、こんなに可愛い女形だったかしら。というか、山羊の「めい」って女?雌?なのか?

あくまでも友情物語であって、恋愛ではなさそうなので、性別は関係ないのかな。

 

悪役の中車もまた、大和田常務的な役回りなのかな?と思っていたら、ずっと前から歌舞伎役者だったかと思ってしまうほど、板についた、存在感のある役者さんになってました。悪役が似合うのは変わらないけど。

 

さすが新作歌舞伎、と面白く観劇できたところとして、下座音楽や義太夫とのコラボレーション。義太夫が狼の「がぶ」(獅童)の心理を三味線に合わせて語り、観客はがぶに感情移入していくのだけど、そこで、がぶが義太夫に突っ込み入れたり。下座音楽の楽器が古典的な邦楽の楽器だけでなく、小さいお子さんでも馴染みやすかったり、誰でも知ってる曲が出てきたり。

狼と山羊の乱闘シーンの大立ち回りも迫力あり。もちろん歌舞伎ならではの見得も随所にあり。ストーリーは単純でも、大人でも十分に楽しめる素敵な演目でした。

1階席で見たかったなあ。

 

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シネマ歌舞伎 スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース

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10月はシネマ歌舞伎に。公開初日に行きました。

結構混んでます。
公演をだいぶ端折ってるらしいけど、違和感なく楽しめました。大量の水(「本水」と言います)の中での立ち回りや、猿之助お得意宙乗りは圧巻。アップテンポな曲に合わせて客席が総立ちで踊ってる様子など、さすがスーパー歌舞伎
 
ここで、本日(11月29日)の最新ニュースを。
 
絶賛上映中のシネマ歌舞伎最新作、『スーパー歌舞伎II ワンピース』の上映延長が、
ご好評につき【東京】東劇、【大阪】なんばパークスシネマ、【福岡】福岡中洲大洋で決定しました!
詳細の上映スケジュールは、映画館のホームページでご確認ください。

人気漫画「ONE PIECE」が原作の、魅力的なキャラクターが活躍し、スーパー歌舞伎Ⅱならではの、本水での大立廻り、歌と踊りや見どころ満載の超話題作をお楽しみください!

上映延長の映画館 

都道府県 上映館 劇場TEL 上映期間
東京 東劇 03-3541-2711 ~12月2日(金)
大阪 なんばパークスシネマ 06-6643-3215 ~11月18日(金)
福岡 福岡中洲大洋 092-291-4058 ~11月18日(金)
 
戻りまして・・・
★ネタバレ注意★
 

現代劇のセリフの途中に、ガチガチの歌舞伎の要素が突然挿入されたり(「でかしゃった、でかしゃった」。「伽羅先代萩」の有名なセリフです。三味線の音に乗せて言う)、役者さんが敵にやられて倒れた時に松田優作の、あの有名なセリフ(「なんじゃ、こりゃぁぁ!」)を言ったり。オカマが踊るシーンは、あんみつ姫@福岡を彷彿とさせたり。
迫力あったし面白かった。

来年も再演されるらしいので、今度はぜひ新橋演舞場で観たいなあ。

 

 

秀山祭九月大歌舞伎

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夜の部は、吉野川、らくだ、元禄花見踊。
らくだは、勘三郎×三津五郎×亀蔵(死体といえば、このお方!)の超豪華キャストで見ていたので、期待が大きすぎたかも。染五郎×松緑×亀寿も、もちろん面白かったのですが・・。

正直言うと、染五郎には、もう少し頑張ってほしかったかなあ。次回に期待。

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幕見席の前。3階B席最後列。最右席から舞台を見る。
今日は上手(右)にも花道でダブルです。これは「吉野川」仕様。2本の花道が吉野川の両岸、という設定らしい。
 
幕見席には外国のお客さんが多かったような・・。吉野川は、子殺しのストーリーが海外のお客さまには理解不能だったのでは・・。

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七月大歌舞伎 歌舞伎十八番の内「鎌髭」「景清」

 

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夜の部。「荒川の佐吉」も良かったのだけど、「壽三升景清」について簡単に。

歌舞伎十八番の内『鎌髭』『景清』、素晴らしかった。歌舞伎の王道。お約束。成田屋お家芸。荒事といえば市川家。
海老蔵の「壽三升景清 不死身の景清がみせる大荒事」、気合バリバリでした。良かった~! これぞ歌舞伎の要素がふんだんで、展開早く、美しく。最後の盛り上がりは、もうほんとに「すごい」の一言。
オペラグラスでガン見したけど、あの眼力は海老蔵ならでは。動く浮世絵。ザ・荒事!
一応ストーリーはあるにせよ、これは理屈抜きに、その姿を目にするだけで良い。海老蔵にしかできないなあ。これ。


【おまけ】某テレビ局に取材されるの巻

歌舞伎座を出たらテレビASHに取材された。海老蔵さんが奥さま闘病中ということで記者会見を行ったのが先月のこと。

 

普段の海老蔵さんと違いましたか?→普段の海老蔵さん知らんし。 

つもと違って元気がない、とか変わった様子は?→だから普段の海老蔵さん知らんし。 

海老蔵さんのお母様はいらしてましたか?→海老蔵さんのお母様知らんし。

海老蔵さん頑張って!」みたいな大向こうはかかりましたか?→そんなん、ないし。

 

テレビ的に、ほしいコメントに誘導されるも、徹底抗戦。

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六月大歌舞伎「狐忠信」

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義経千本桜の通し。通しで見たいところだったけど、とりあえずは「狐忠信」を鑑賞。
見どころは、何と言っても猿之助宙乗り。mid-air stuntって言うらしい、宙乗り。英語だと。どうでもいいけど。
で、宙乗りがあると3階席が一部つぶれるので、チケット取るのもひと苦労。3階B席のつぶれた席の真横をゲット。写真左の黒いところに猿之助が上ってくるのです。

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そもそも、「狐忠信」、佐藤忠信って人間のふりして実は狐だから。化け物とか霊とか、狐とか、人間以外の登場人物は花道の「スッポン」から出てきたりする。逆に言うと、スッポンから出入りする役どころは人間ではない。

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で、第三部「狐忠信」まずは「道行初音旅」通称「吉野山」。これは舞踊。猿之助、踊りには定評があり、ほんと上手い。しなやかでキレがあって、力強く繊細で。歌舞伎の舞踊ってモノによっては退屈だったりするけど(気持ちよくなって寝てしまったり)、猿之助が踊ると見入ってしまう。静御前染五郎も良かった。染五郎も間違いなく上手いので、猿之助×染五郎だと、かなりお得感がありました。

そして、待ってました!なのが「川連法眼館」通称「四の切」。澤瀉屋。もう、ほんとに魅せてくれます。早変わりも、狐の愛らしさも。大の大人が狐を演じるなんて、考えてみればバカらしい気もするけれど、そういう醒めた考えが浮かばないどころか、ストーリーに入り込んでしまう。狐の白い毛=白い衣裳も鮮やかで、クライマックスへの期待感を煽る。宙乗りで天に昇るところが最高潮。花道からワイヤーで吊られた猿之助が、ぐいぐいぐいと天に向かい、2階席、3階席と上がってくると、リーズナブルな、庶民席である3階席が、今この宙乗りの瞬間は特等席に早変わり。猿之助、キター!
大歓声と熱気を巻き起こし、天に昇って去っていく瞬間に、桜吹雪がドーン!
幕切れの後、客席にはまだ興奮の渦が残っていました。明るくなった客席。桜の花びらを拾いながら、テンション高く「すごかったねー」とか言い合っているお客さんの多かったこと。


私も興奮冷めやらず、軽く一杯、は、歌舞伎座を見下ろすバーにてウイスキー

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ポートシャーロット。アイラのシングルモルトで、ちょっと落ち着く。
いい夜でした。

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團菊祭五月大歌舞伎

今週のお題ゴールデンウィーク2016」

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汗ばむような陽気、子どもの日に行ってまいりました、9ヶ月ぶりの歌舞伎は團菊祭。昼の部。いかにも歌舞伎!な『楼門五三桐』での吉右衛門「絶景かな、絶景か~な~。」と、『寺子屋』松王・海老蔵の「笑いましたか」が私にとっての見どころ。

◆鵺(ぬえ)退治
鵺。頭は猿、体は狸、尾は蛇って・・・。狐や馬と違って、いやあ斬新! 何が斬新か?って、鳴き声。ちょっと笑ってしまいました。で、退治される鵺、矢を放たれたら早業で自分の頭に矢をパコッと嵌めていたのが素晴らしい。空気読みまくる鵺。意外にいいヤツなのかもしれない。・・とか雑念ばかりで、あまり真剣に観てませんでした。ごめんなさい。

寺子屋

正直、海老蔵には全く期待していなかったのですが、思ったよりも上手かった。首実検に至る場面では、こちらまで胸が苦しくなるような演技だったし、前の幕のように雑念が出てこないほど、芝居の世界に引き込まれました。菊之助の千代も良かった。安心して観ていられる。

十六夜清心

いかにも河竹黙阿弥。癪(しゃく)を起こすのも黙阿弥らしさなのだろうか。癪に苦しむ求女を介抱したとき、その懐の大金に触れてしまったのが人生の大転換ポイント。人は簡単に悪人になってしまうものなのか。清心は初演らしい。安定の菊之助、良かったです。

◆楼門五三桐

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写真にあるのは幕切れ前のクライマックス「天地の見得」。残念ながら3階席からは全貌が見えず。が、吉右衛門石川五右衛門、豪快で優雅で良かったです。

 

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夜の部では、菊之助のご長男、寺嶋和史ちゃんが初お目見得。尾上菊五郎中村吉右衛門という偉大な両おじいちゃんと共演。夜の部も見たかったなあ。菊之助のお嬢吉三、海老蔵のお坊吉三、松緑の和尚吉三だなんて、ちょっといいな。

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◇おまけ
帰り道、気になったお店。寄って行きたくなる。

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